2020年1月30日木曜日

217 私の夢は302:ステータスコード

 目標を設定したり、目標の達成法を考えることは、一度はあるいは定期的にしたほうがいいはずです。特に若い人は試した方がいいでしょう。年配の人が同じ方法でやってみたら、うまくいくのでしょうか。試してみました。

 大学の教職課程のある授業で、小学校5年生の道徳の教科書を紹介された先生がおられました。私の共同で担当している授業でした。その教科書に、「夢をかなえるために」という教材がありました。その教材では、大谷翔平さんの通った高校では夢や目標を実現するために「目標達成シート」というものを書いたのを紹介していました。児童も自分の夢で、そのシートに書き込んでいくということをしていきます。
 このシートは「マンダラチャート」とも呼ばれているそうですが、長方形の内部が3X3に9等分されています。この9マスの長方形が基本となります。そのような長方形が3X3個、集まっています。つまり、81個のマスがあることになります。使い方は、まず真ん中の3X3の長方形の中心のマスに、かなえたい目標、夢を書き入れます。できるだけ高い目標、大きな夢にします。目標の周りの8つのマスには、その目標を達成するための要素(項目)をキーワードで書きます。さらに8つのキーワードを、周囲の8つの3X3の中心のマスに書き写します。それぞれのキーワードを達成するために、すべき具体的な内容を書いていきます。つまりひとつの目標を達成するために、8つのキーワード(要素)を決め、それぞれを達成するために8つの具体的な方法を決めていくわけです。具体的な方法を実践していくことで、目標達成に近づいていくということになります。
 ちなみに大谷さんが高校生の時に書き込んだ目標は「ドラ1 8球団」とあります。これは、8球団からドラフト1位をもらうことでした。そしてその目標は達成されました。
 大学の授業では、教員志望の学生たちに「目標達成シート」を書いてみることにしました。私も学生一緒に、このシートを書きはじめました。ところが、書こうとすると、なかなか埋まらかなったので、かなりあせりました。
 実は、別の方法で目標を決めて、それを達成するために年にいくつかの項目を決めています。いわゆる今後の人生設計を立てて行動しています。そして、一つの項目が達成できたり、年末か年始になると、その設計を見直して最適なものに修正しています。ですから、形式は異なっているのですが、目標達成のための手段や確認作業は、いつもやっています。
 授業で、いつもやっている自身の目標とその手段を、このシートに書いていけばいいのだと思って臨んだのですが、全然埋まりませんでした。どうしたことでしょうか。多分、このシートは、若者(大きな夢を持つべき人)が、これからすべきことがまだ定まっていない時、あるいは大きな目標のため、達成すべきことがいろいろあり、手段もいくつもある時に有効な方法なのかと思います。私は限られた時間内で、限られた目標で進めていくことを最優先しているので、大きな目標ではないため、埋まらないのかもしれません。
 さて、話題は転換します。インターネットについてです。インターネットは、今では利便性だけでなく、娯楽としても重要なツールとなってきています。ネットサーフィンをしていると、動画や音楽、映画など、好きなものだけを見て、長時間、彷徨っていても飽きることがありません。また気の合った友人とも、SNSでつがっているので、インターネットを通じての友人関係もできます。最近の若者はインターネットへの接続は、スマートフォーンが手段となっているので非常に重要なものとなっています。スマートフォーンの小さな窓ですが、そこには広い世界、多くの友人につながっています。自分の好きな世界だけで、多くの時間を費やすことができます。
 ところが、現実には、嫌でもしなければならないこと、体を使わないとできないこと、手間のかかること、避けては通れない人間関係など、いろいろと気の重いことも対処しなければなりません。それが社会で生きていくということでしょう。だから、余計に好きなことだけを提供してくれるインターネットの世界が住み良くなるのでしょう。
 住み良いはずのインターネットで検索していくと、別のサイトへといこうとすると、
 Not Found(見つかりません) や HTTP Error 404 - Not Found
というメッセージ(ステータスと呼ばれます)が出てくることがあります。インターネットを利用する人は、時々目にしているものでしょう。特に、昔に作成されたサイトだと、そこで引用されたリンク先も古くなっているので、更新されたり、別の名称に変わったりすると、そのサイトは見つからなくなります。そんな時に、表示されるステータスです。
 このようなステータスの番号には意味があります。ステータス番号は、インターネットのサーバーとブラウザーとのやり取りに関して、サーバーの状況をを、3桁の数字として返してきます。通常は、そのサイトの構成するデータが送信され、いわゆるページが表示されていきます。しかし、エラーがあるときにそのようなステータスが表示されます。
 HTTP 403 Forbidden(アクセス拒否)
などもよく見かけます。また、
 HTTP 302 Found(発見)
という訳のわからないステータスもあります。「302」は、サイトは存在するのですが、現在一時的に別のところにあり、表示するデータはないという意味です。サイトは存在するのですが、一時的に表示できない状態だということです。
 「302」は、もともとサーバーの開発者が一時的にデータを移動している時のステータスとして使うものだそうです。開発者にはそれなりに使い道があるのでしょうが、私にはよくわかりません。
 重要な情報、是非欲しい情報を検索していとき、ステータスの「404」や「403」が出るとがっかりしてしまいます。でも、なにも起こらない無反応の状態よりは、「404」や「403」などと、ステータスが表示され状態がはっきりしたほうがいいはずです。
 そのスタータスが私の人生設計では、ページが表示されています。目標や手段は、自分のやり方で進めているのですが、本当に達成できたかどうか、その達成度は私が後年判断することになるのでしょう。でも、「目標達成シート」ではステータスは「404」になります。「403」でないだけマシなのでしょうね。しかし目標が、「302」でも困るのですが。

・418・
エラーには 418というものがあります。
I'm a teapot (私はティーポットです)
その意味は文字通り「私はティーポットです」
ということで、表示が拒否された場合に返される
ステータスコードです。
つまり、ティーポットの私(サーバーのこと)に、
コーヒーを淹れさせようとしたから、拒否します
ということだそうです。
このエラーは、1998年のエイプリルフールに
Hyper Text Coffee Pot Control Protocol
に由来するジョークだそうです。
本来なら使わずに終わっているはずなのですが、
この418ステータスコードは
Googleでは実装されています。
興味がある方は、
https://www.google.com/teapot
を御覧ください。

・新型コロナウイルス・
2月になりました。
北海道では各地が雪不足になっており、
いろいろな行事が縮小されたり、
中止になったりしています。
札幌の雪まつりも雪集めに苦労しているようですが
なんとか開催するようです。
北海道の特徴の雪を使う大きなイベントなので
国内だけでなく海外からも多くの観光客が訪れます。
中国から観光客も多いことでしょう。
しかし、最近は新型コロナウイルスが心配です。
自衛として、人混みは出ないようにすること
そして体調を整えることでしょうね。

2020年1月1日水曜日

216 百年一瞬耳 君子勿素餐

 人は学んだことを自身の血や肉にし、それに従って考え振る舞っていました。学びからの信念に、命を懸けることすらありました。そんな人物が残した言葉には重みがあり、聞く人にも重く伝わっていくことでしょう。そんな重みのある言葉から、新年のエッセイをはじめます。

 昨年秋、山口県萩市にいきました。萩には、はじめてでした。萩は日本海を望む町です。阿武川の河口近くにできた中洲に、古くからの城下町が広がっています。中洲の東を流れる川沿に宿泊し、近くにある松陰神社を訪ねました。松陰神社は吉田松陰を祀るために、明治になってから建立された神社でした。
 萩は、かつての長州藩の本拠地で毛利家が支配していました。長州といえば、幕末に土佐、薩摩と並んで尊皇攘夷として維新を起こし、明治の中枢の人材を多く出した藩でした。中でも長州の吉田松陰は有名なので知ってはいましたが、特別に興味があったわけではありませんでした。観光として訪れました。
 松蔭は1830(文政13)年に萩の城下で生まれ、安政の大獄で囚われ1859(安政6)年に伝馬町牢屋敷で死刑(斬首刑)となっています。享年30歳、若き死でした。また、私塾の松下村塾で多くの人材を育成したことも知られています。
 松陰神社には、吉田松陰歴史館と松下村塾や旧宅が残されていたので見学しました。松下村塾という小さい建物で生活し、多くの人が学んでいたのかと驚きました。松蔭の詳しい履歴は知りませんでしたが、歴史館や塾の解説で、いろいろとわかり、すごい人物であったことを知りました。そして、このエッセイを書くにあたり少し調べました。
 松下村塾は、叔父の玉木文之進が身分に関係なく受け入れていたもので、松蔭も小さい時、学んでいました。松蔭は幼少の頃から秀才で、四書五経などを早くに身につけ、9歳で藩の武士が学ぶ藩校の明倫館の兵学師範になり、11歳で藩主毛利慶親への御前講義、13歳で長州軍の演習を指揮し、15歳で日本の兵学を修めたとされています。
 秀才であっただけではなく、行動力もありました。アヘン戦争の結果を知り、西洋兵学の必要性を痛感し、九州や江戸などで学びはじめました。藩の許可をとらずに脱藩し東北へ出か、江戸に戻ったとき士籍剥奪や世禄没収の処分を受けています。ペリー来航で衝撃を受け、長崎でロシア軍艦に乗り込もうと画策しました。そして、ペリーの再来で密航しようとして捕まり、下田奉行所に自首しています。その罪で伝馬町牢屋敷に投獄され、やがて国許蟄居になり野山獄に幽閉されました。野山獄内で教育をして、獄から出され杉家で幽閉されたときに講義をはじめ、多くの人が受講しました。そこで杉家を改築、増築していきました。1857(安政4)年、松蔭27歳のとき、松下村塾の名を引き継いで、開塾となりました。
 そんな折、幕府が朝廷の許可をえず、日米修好通商条約を結んだことに怒り、政府要人を討ち取る計画をし、1869(安政6)年の安政の大獄で捕まり、死刑になります。吉田松陰は秀才でありながら、知に留まらず、行動できる人だということわかります。
 松蔭の経歴をみていくと、松下村塾で教えていたのは、1856年8月から1858年12月までのわずか2年余りしかありません。その期間に後に明治維新で活躍する多く人材を輩出しました。有名ところとしては、山縣有朋、高杉晋作、伊藤博文、久坂玄瑞などがいます。
 松蔭など江戸時代の教育を受けた人は、四書五経などを身につけ、それを実践していました。「論語」「大学」「中庸」「孟子」の四書は、高校の漢文でほんの一部を学びますが、そこからでも内容の正しさ、崇高さはわかります。ただし、実践していく人はどれくらいいるでしょうか。昔の知識人は実践もしていました。
 松蔭は、書や文の達人でもあったようで、いろいろな名言や教えが残されています。1858年6月、塾生の山田市之允(15歳)に松蔭が扇に書いて与えた文があります。

 立志尚特異 俗流與議難
 不顧身后業 且偸目前安
 百年一瞬耳 君子勿素餐

読み下すと、

 立志は特異を尚(たっと)ぶ
 俗流は與(とも)に議し難し
 身后(しんご)の業を顧(おも)わず
 且つ目前の安きを偸(ぬす)む
 百年は一瞬のみ
 君子素餐(そさん)するなかれ

となります。その意味は、

 志を立てる時、特異を尊(尚)ぶものだ
 俗人(俗流)とは話し合うこともできない
 身后(死後)の業などは考えるい
 目先の安楽に心を盗(偸)まれるな
 百年は一瞬だ
 君子よ徒食(素餐)をするな

ということでしょうか。世に出るためには、特異であれ、俗になるな。死後のことなど考えず、安楽に溺れるな。時間のたつのは早いので、徒食をするな。誰もが納得することでしょう。でもなかなか実践できないことでもあります。しかし、松蔭の実践力を知っているものにとっては、この言葉の重みが違います。多分、若き山田市之允は、同時代に松蔭の生き方をみて、その意味の重さを痛感したことでしょう。
 現代に生きる私たちにも、過去の偉人が実践して伝えた言葉は重く響きます。感心するだけでなく、実践する必要があります。
 百年一瞬耳 君子勿素餐
を心に命じましょう。

・良き一年ありますように・
明けましておめでとうございます。
昨年は本エッセイを購読いただき、ありがとうございました。
本年も、引き続き購読のほどよろしくお願いします。
北海道の年末には寒波で冷え込みもあり
ドカ雪も降りました。
でも、暮れらしい景色になりました。
今年の冬もはじまったばかりですが
穏やかであることを願っています。

・オリンピックイヤー・
今年は、オリンピックイヤーとして
世間は浮かれることだと思います。
私は、8月の時期にオリンピックを開催するのは反対です。
拝金的背景やIOCの不正、ロシアのドーピング疑惑、
アスリートより国の思惑が優先している
など、純粋なスポートの祭典であるはずなのに
その純粋さが穢されているようにみえます。
私は、はじまればテレビ観戦するのでしょうが。
やはりunder uncountable での
7、8月の最悪条件ので開催は反対です。