2022年12月1日木曜日

 251 喉元に熱さがあればリソースは回らない

 2022年も、COVID19の感染爆発が繰り返されました。3年近く感染爆発が繰り返されて、慣れっこになってしまいました。しかし「慣れ」が生じないようです。そこにはどんな理由があるのでしょうか。


 どんなに危機的状況に陥っても、同じ状況が続けば、人は慣れるものです。これは、つらい状態が続いても、慣れることで耐えやすくなり、気持ちに余裕ができます。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざ通りのことが起こります。その結果、どんなに大変な状況であっても、慣れることで心の余裕が生まれます。どんな苦境でも継続すれば、心の余裕から、精神的なリソースを他のことに使えるようになります。この仕組みは、非常に優れた機構といえます。
 今年も師走となりました。COVID19の第8波の感染爆発が現在も起こっており、感染者数は非常に高い値で推移しています。特に北海道では、次々と最高記録を更新しています。2020年2月からの2年間のコロナ禍と比べると、最近の感染者数は大変な事態といえます。それなのに騒ぐ人も減っているようで、警告するメディアもなおざり感があります。これは、明らかに「慣れ」という状態に陥っているのでしょう。
 大学でも、学生の感染による担当講義の欠席の届けも、毎日何名も受けています。かなりの数の感染経験者もいます。COVID19が身近にある感じ、いつ感染してもおかしくありません。それでも一時期のような感染への恐怖や緊迫感を感じません。これも明らかに「慣れ」という気持ちによるものでしょう。2022年も感染爆発が繰り返されても、社会活動や大学の対面講義も復活してきました。それもコロナ感染への「慣れ」を促したのでしょう。
 では、「慣れ」た状態になったのであれば、精神的リソースに余裕が生まれたのでしょうか。そしてそのリソースを他に回せたでしょうか。どうも難しかったようみ見えます。どうしてでしょうか。「慣れ」と精神的リソース発生の間には、まだなにか他の要因が潜んでいるのでしょうか。考えていきましょう。
 同じような感染症にインフルエンザがあります。インフルエンザは高熱、節々の痛みや喉など、コロナ感染と似た症状がでます。感染するとつらい思いします。インフルエンザに感染したら、自宅療養となり出勤や登校は禁止になります。COVID19とは日数や対処は違いますが、インフルエンザの危険性は日常化して「慣れ」ています。
 コロナ禍でここ2、3年はインフルエンザの話題も聞かなくなりました。インフルエンザの危機感は日常化していますが、今でのワクチン接種で対処しています。ここ10年ほどインフルエンザにかかったことがありません。それ以前には何年に一度ほどはかかっていましたが、予防接種を受けていたたので、重篤になることはありませんでしたが、やはり闘病はつらかったですが。
 厚生労働省によると、日本では、例年インフルエンザの死亡者は1万人程度と推計されています。例年、インフルエンザの感染が広まっても、自身や身近な人が感染しても、危機感は感じずにいます。これも「慣れ」でしょう。
 今回のCOVID19では、日本の死者数は5万人になろうとしています。年平均にすると1万8000人ほどになっています。感染当初と比べても、死亡者数も感染爆発ごとに増えています。数で見ると、インフルエンザの倍近くの死者がでているので、危険な感染症であることは確かです。例年のインフルエンザでの死亡者数はあまりに話題になりませんが、これも「慣れ」でしょう。
 COVID19ははじめての感染症だったことと、当初から死者も多いことで大きなニュースになりました。加えて、COVID19が次々と変異種が生まれることで、症状も変化してきました。一方、COVID19に対処できるワクチンもでき、接種も進み、対処もしてきました。それでもいまだに感染爆発も繰り返しています。
 すべての感染症でも同じ現象が起こるのかもしれませんが、この3年近くの間、COVID19の感染状況の変化、死者の増加、成否は別に行政も次々と新しい対処もなされてきました。はじめてのことが次々と起こり、そこからの状況も激しく変化する事態となっています。まだ変化の最中なので「慣れ」ができていないのかもしれません。そのために、心の余裕がなかなかできないのでしょう。
 最初に「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざをだしましたが、COVID19は次々と新しい変化が起こっているため、喉元をいったりきたいしているようです。そのため、精神的リソースが他に回せないようです。

・マスク・
以前は、自身が風邪にかかっていない限り
マスクはしまでせんでした。
しかし、現在ではマスクをつけるのが
デフォルト、日常になっています。
研究室と自宅だけが、マスクのない状態となります。
人前に出る時は、マスクをつけた状態が日常となっています。
学生も顔の上側だけで見分けなければなりません。
私は顔識別が苦手なので困ります。

・晴れない気持ち・
今回が今年、最後のエッセイとなりました。
今年はCOVID19の話題は常に流れていました。
それ以外の話題もあったはずですが、薄まっているようです。
今年になって、危機管理レベルや自粛が緩るみ、
社会活動、観光、大学の対面授業などが
復活してきました。
一方で感染爆発も繰り返しています。
インフルエンザの感染爆発があっても、
あまり気にならないのですが、
COVID19はいまだに気にしています。
そして、気分もパッと晴れることはありません。
そんな気持ちの今回のエッセイしました。