2023年6月1日木曜日

257 アースネーム2:位置を知らせる

 自分の住んでいる位置を伝えるための方法は、まずは住所です。もし住所という方法が使えないとしたら、どのように伝えればいいでしょうか。自然の地形の川を使う方法を紹介しましょう。



 自分の住んでいる位置を伝える方法を考えていきます。現代なら、住所があるので示すことができます。日本なら、都道府県、次に市町村、さらに大字(おおあざ)と字(あざ)に当たる地名、そして番地で示されます。
 地名や住所がないところだったら、どうすればいいのでしょうか。GPSや地図で、緯度経度を読み取って、その値を示せばいいでしょう。もし、緯度経度も決まっておらず、地形しか手がかりがない場合なら、どうすればいいでしょうか。
 地形でもっとも大きな特徴で明瞭に区分できるのは、海と陸でしょう。海は陸に囲まれたところは区分できますが、広いところの内部は区分できません。まあ、海に住むことはないので、考えないことにしましょう。住居は当然、陸にあります。ここでは、陸だけを考えていきましょう。
 陸には、川や山など、特徴をもった地形があります。陸を地形で区分していきましょう。今回は、川の名称だけを用いましょう。陸に名前をつけて、川にも名称をつけます。表記は、海に注ぐ河口からはじめていきます。
 岸由二さんの「リバーネーム」という本があります。その考えにしたがって、「私の川」として、生まれたところの近く川や、現在住んでいるところの川の名前を使って、川の流域の自然を意識しようとするものです。
 それを改良して、「アースネーム」というものを考えました。その考えにもどついて、「32 アースネーム」(2004年9月1日)というエッセイを書きました。アースネームとは、地球の海、陸、川などの自然の地形だけを用いて、位置を記述する方法です。まずは海と陸が大区分となり、どの陸(大陸や島)に属しているのか、その陸地を流れる川は何という名称で、その川のどこに住んでいるのかを記述していきます。
 アースネームでは位置を示すために、川を河口から遡りながら、内陸に入っていくことになります。住んでいる位置にたどりつくまでに、海から本流から支流へと辿っていきます。自ずと支流への愛着や本流への帰属意識が生まれます。それが自然観察から自然理解につながるのではないかという意図があります。
 川は、陸(大陸や島)の中に、山並みに区切られた流域があり、支流も多数ありますが、支流ごとに流域もきまっていきます。このエッセイで、再度、アースネームを取り上げたのは、現在のサバティカルの地を、この方法で表記していこうと考えたためです。
 現在では、「川の名前を調べる地図」
https://river.longseller.org/
というサイトがあり、そこでは日本の河川の名称がすべてわかるようになっています。このようなものを利用して、川の名称を調べていきましょう。表記は、水系から支流の名称を順番に書いていき、住居の位置を示します。
 まず、現在の執務をしているところのアースネームを書いてきましょう。
 四国ー肱川ー黒瀬川ー源光川の右岸
となります。自宅は、
 四国ー肱川ー黒瀬川ー三滝川ー名称不明川(祓川と坂本川の間の支流)の左岸
となります。
 この方法だと、大きな支流は昔の日本の住所表記の大字(市町村名)に相当し、最後の支流では字(地区)より細かい区分まで示せます。住所なら番地まで示されていき、都会ならビル名や階、号室まで示さないとわかりません。しかし、人口の密集していない田舎なら、最後の支流と氏名が分かれば、住居の位置が確定できるほどの精度になります。最後の支流名まで遡れば、位置がかなり詳しく決まります。
 日本は、険しい地形のため山地も多く、短い河川が多数あり、谷も支流も多数できていますアースネームも用いるのに適した地です。また、人が山の奥地にも住んでいるため、河川の小さな支流にも名称が付けられています。
 では、河川名を知らない人が、その位置にいくことができるでしょうか。上記のようなサイトで、河川やその支流の名称を調べることができないときは、どうすればいいでしょうか。現地で詳しい人に聞くのが一番です。
 役場がもっとも手頃ですが、職員の人も、職務上多くの河川を知っていることもありますが、全地域を網羅的に知っているわけではありませんので、知りたいところの支流名まで知っているとは限りません。今回、支所で頂いた城川町時代の古い地図には、細かく河川名が書かれていますが、それでも漏れている河川名も多数ありました。
 情報がない時、近所に住んでいる人に聞くしかありません。ところが、地元の人に河川の名称を聞いても、知らないといわれることがよくあり、よっぽど詳しく知っている人を探さなければなりません。なかなか支流名からたどるのも難しいかもしれません。
 どうすればいいでしょうか。名称ではなく、河口から順番に番号を付けて示す方法はどうでしょうか。河口から支流に順番に、-1、-2、-3・・・と付けていきます。本流から別れて支流に入れば、その支流の支流に新たに新しい番号を-1、-2、-3・・・と枝番号を加えていくことにしましょう。これを支流ごとに繰り返していきましょう。例えば、本流から3本の支流に入り、その支流から5本目の支流に入るのなら、-3-5と表しま。あとはこれの繰り返しになります。
 支流がたくさん枝分かれしていくと、番号も複雑になりますが、一義的に決まっていきます。現在の住所
 四国ー肱川ー黒瀬川ー三滝川ー名称不明川の左岸
を、この表記法で書いていくと、
 四国ー肱川-29-6-4-1の左岸
となります。シンプルなり、名称を知らなくても、河口から河川を辿っていけば、だれでも表記の地にたどり着くことができます。表記方法が、固有名称を用いるか、抽象化した数字をつけていくかの違いとなります。
 アースネームの根本に戻って、なぜこのような名称をつけようと考え方たのでしょうか。それは、自然の地形を利用して、位置を示すことです。川を通じて、地形をよく見ること、あるいは川をよく見ることになります。なら、後者の示し方が合理的です。
 私の住んでいる支流は、肱川の29-6-4-1となります。味気がありませんし、愛着も湧きにくくなります。川に名称があるほうが愛着も湧き、会話での共通認識を持つことできます。昔の人は、なんらかの川や土地に名称をつけていきました。その結果、そこに愛着をもっていたのではないでしょうか。ですから、今の住居のアースネームは
 四国ー肱川ー黒瀬川ー三滝川ー名称不明川(祓川と坂本川の間の支流)の左岸
を採用しましょう。

・簡易上水・
山間の集落は今での多いと思いますが、
沢水をつかっている家が多くあります。
現在住んでいる住居の上水は
共同管理された沢水による簡易水道を使っています。
年間の管理費は払いましたが、
月々の水道使用量はかかりません。
市内でも海沿いや大きな河川がないところでは
ダムで貯水して、それを配管して上水道にして使います。
現在の住居の周辺は、水量も十分あるし、
水質も検査されているので安心です。

・浄化槽・
簡易水道を使っているところは
公共下水道もないところが多くなります。
下水道がないところは浄化槽を使用することになります。
昔住んでいた湯河原は個別の浄化槽を設置していました。
先日、浄化槽の検査の結果が来ていました。
問題はなかったようです。
かつては、家ごとの浄化槽でしたが、
現在では合併浄化槽に切り替えているようです。
下水道が環境にはいいのですが、
田舎で下水を整備するのは大変なので
自然に優しい浄化槽もいいのでしょうね。