2022年5月1日日曜日

244 A、非A、メタA:無限ループへ

 言葉について考える時、言語で考えます。言葉にできないものも言語で考えます。概念を考える時、概念的に考えます。このような入れ子状態のものごとに対して、どのような方法論で、切り込んでいけばいいのでしょうか。


 ある概念を誰かと共有するためには、文字や言葉にして表さなければなりません。概念が言語化ができなければ、共有することはできません。言語化はさまざまな場面で重要になります。
 ある例をみてきましょう。宝石の多くは、鉱物の結晶からできています。宝石には色があり、その色が宝石の特徴ともなっています。サファイアは青色、アメジストは紫色、ルビーは赤色など、共通の概念をもった色で言語化されています。色を特徴として、それぞれの宝石が識別できることになります。しかし、同じ種類の宝石であっても、多数集めて色を見ていくと、多様性があることがわかります。
 アメジストは、紫水晶ともいわれるように、紫色ですが、濃い色から薄い色まで多様です。薄くなると、青っぽくなったり、赤っぽくなったりします。自然の結晶ですから、その色合いは変化します。ただし、宝石となるのは典型的な色合いのものです。サファイアやルビーでも、同様の色の多様性があります。宝石の種類は異なっているのですが、色の多様性をみていくと、似た色になっているものあるはずです。並べて比べれば、色や結晶の違いがわかるかもしれませんが、似た色の違いを言語で示すことが難しくなってきます。
 現在では、色を数値で示すことができるので、数値化して違いを示すことは可能です。しかし、言語化と数値化とは違う概念ですので、ここでは考えないことにします。
 「紫色」が適用できる色と、「紫色」と似ているけれども違う色を比べると、「紫色」に似ている色のものが、圧倒的に多そうです。ここで出した例は宝石の色ですが、他にもいろいろなもので、言語化できる対象があるはずです。ひとつの対象で言語化されたものは、その対象の周辺にある類似のものの多様性と比べれば、ほんの一部に限られているのではないでしょうか。
 この例を抽象化していきます。まず、対象の宝石で言語化できた紫色を「言語化」紫色、と呼びましょう。そうなると紫色に似ている色で言語化できないものを「非言語化」紫色と呼ぶことにしましょう。すると、それぞれの対象内の量(数、種類などなど)は、
  「言語化」紫色 << 「非言語化」紫色
となりそうです。これを抽象化して表記すると
  言語化色 << 非言語化色
となります。さにら抽象化を進めていくと、
  A << 非A
となります。つまり、ある概念Aがあったとき、Aでない非Aの概念が圧倒的多くなるということを意味します。
 この例では色にしましたが、同様の例が多々あるはずです。しかし、ここで注目したいのは、量比ではなく、用いた方法論です。
 方法論として、強引に二分法を導入しています。二分法とは、対象が2つの分けられるものに適用する方法論です。2つに分けられるものとは、選択肢として2つが示されものに適応されます。例えば、好きか嫌いか、白か黒か、YesかNoか、など、対象が2つの選択肢に分けられ、いずれの選択肢も明確である時、適用されるべきものです。
 このAが非Aかの方法は、実は二分法が適用ができないものに、二分法を導入していることになります。なぜなら、一方は言語化できていますがが、他方が言語化できてないものです。言語化できないものを、「非言語化」と呼ぶことで、「言語化」しているわけです。宝石の例でいれば、「紫色」と似ているけれども紫色でない色を、本来ならば言語化できない色を、非「紫色」という名称を与えたことになります。
 さらに話を進めていくと、言語化可能な概念と非言語化(言語化不能)の2つの概念を、同じ土俵にまで上げて、言語化して議論しています。このような考え方を「メタ言語化」と呼ぶことができます。メタ言語化は、言語化や非言語化を含んでいるので、より大きな概念、あるいは言語化と非言語化が存在する階層より、上位の階層から見ていることになります。
 不思議な方法論ですが、うまく利用すれば、複雑なものや、曖昧なものへの対処法に使えそうです。
 これらも抽象化すれば、 A、非A、メタA という表記になります。この考え方は、認知、構造、数値化、論理、モデル、意味などの、難しい概念にも利用できるでしょう。認知、非認知、メタ認知などはよく聞く用語となっています。
 ひとつの概念があり、それでは表せない概念を、「非」概念としてラベリングすることで、同じ階層で対象化できます。そこで両者の特徴や類似点や相違点などを検討することができます。そのような同階層で対象化をすることで、メタ概念が生み出すことができます。
 これは、A、非Aで特徴化と差別化された「メタ概念」で示されるものに対して、さらに非「メタ概念」を定義することとができます。それらを合わせてメタ「メタ概念」ができます。このような構造のループが生み出せます。
 さてさて、このループはどこまで続くのでしょうか。この構造に意味があるかどうかは、考えなければなりません。その構造、意味で表せない非・・・・・。ここでもループがあります。
 今回紹介した非やメタの考えは、以前から何度となく考えていました。最終的に無限ループに入っていきます。そこにも無限ループと非無限ループとするという方法を適用することができます。非無限ループは有限の要素からなりますが、その数は無限です。無限ループおよび非無限ループも無限に存在します。無限ループと非無限ループの階層が、メタ「無限ループ」となります。
 ある階層内に無限があっても、その階層として捉えれば、上位の階層からは無限をひとつの集合、有限のものとして扱うことができます。しかし、この階層の捉え方が、無限ループを形成しています。
 カントールの無限の扱いに通じるもがありそうです。このような階層をどう扱えばいいのか、まだわかりません。思案中です。

・非とメタのループ・
今回考えた非とメタのループは、
なかなか答えの出ない問題で
以前から考え続けているものでした。
答えのない、アイディアの段階のものですが、
言語化することで、考えが少しは整理できるかと思い、
このテーマにしました。
考えならが書いていたのですが
やはり結論が出ませんでした。
難問であることはわかってきました。

・ゴールデンウィーク・
今年のゴールデンウィーク中は、
久しぶりに田舎にでかけて滞在しています。
ですから、このメールは予約配信しています。
移動しながら旅をするのもいいのですが、
時間があるときは、好きな場所に滞在して、
のんびりとしたいと思います。
今回はプラベートなので野外調査は抜きです。
1週間ほどいると、その地域の観光地ではなく
地元のささやかですがいいところを
見つけることができるかと思っています。
そんなささやかな発見をすることも楽しみです。