2017年8月1日火曜日

187 AIとの付き合い方

 近年のAIの進歩は著しく人の楽しみの世界へも侵入してきました。AIとどう付き合っていくかは、人の問題です。AIを否定するという方法もあるかもしれませんが、うまく付き合っていくことが、今後は必要でしょうね。

 将棋の世界では、藤井聡太四段の連勝がニュースになり、その行動が細々と報道されました。少々加熱にしすぎに見えます。一方、電王戦というものもその頃おこなわれていました。
 電王戦とは、コンピュータの将棋ソフトとプロ棋士の対戦です。将棋電王トーナメントというコンピュータの将棋ソフト同士の対戦による勝者と、叡王戦というプロ棋士の優勝した叡王です。叡王戦は全棋士参加棋の対戦で、正式なタイトル戦となっています。つまり、最強のプロ棋士という称号を持った人を選ぶことになります。
 2016年はソフトがponanzaで山崎隆之叡王(八段)が対戦しました。この対戦は先手後手を入れ替える二番勝負でした。2016年はponanzaが2連勝しました。2017年はソフトがponanzaで、プロ棋士は佐藤天彦叡王(名人)でした。この対戦でも、やはりponanzaが2連勝しました。また、他の将棋のタイトルホルダーとの公式な戦いは行っていません。たとえは羽生名人などとの公式対戦はまだありません。ですから、どちらが最強かの結論はまだ出ていません。将棋では、まだ完全な結論は出ていないのですが、多分近いうちに人間を越えていくでしょう。
 現代の情報科学は、一段と進歩が著しく見えます。中でも、ビックデータとデープラーニング(deep learning)などの手法を取り入れて、コンピュータ自身が試行錯誤で学んでいくAI(Artificial Intelligence)の進歩が話題になっています。AIがチェスと囲碁の世界では人を越えました。
 人の進歩のスピードには、生物として勝負にかけられる時間や、肉体的、精神的努力には限りがあります。また、人が脳を働かせている時間やスピードにも限界があり、疲れたり時間に追われるとミスもしていまうからです。ところがAIには、疲れるもなく、装置やソフトも日進月歩で進歩し、それを休みなく働かせることができ、ミスもしません。
 AIは、記録が残されている多数の対戦を短時間にすべて学ぶことができます。それらを学び終えて、もし足りないとすれば、AI同士の対戦をこなうことが可能です。そして対戦事例を指数関数的に増やすことも可能です。自身に学んでいくことができます。AIはゲームでは非常に強くなります。ですから、AIを人の訓練に用いるには打ってつけでしょう。
 AIが自学自習で学んたことには、人が知っていることも、もちろんあるでしょう。しかし重要なのは、AIの出す答えの中には、人が考えもしない、本当かなと思えるようなものもあることです。そのような予想外の考えや結論は、もしかしたら宝の山かもしれません。
 囲碁や将棋などAI対戦で、プロ棋士が今まで考えてもいない手を打つことがあることがわかってきました。その結論に至る理由や道筋は、まだわからないのですが、その手が、結果としてそれがいいことが、次々とわかってきました。そんなAIが予想外の答えを出す例が、多々でてきました。
 AIの予想外の結論で、もし有用なものがあれば、利用すれば役立つ場面もあるはずです。囲碁や将棋の手もそうですが、CT画像を用いたガンの早期発見などは、人の社会ですぐにも利用できる例でないでしょうか。
 ゲームという人が楽しむ世界にAIを導入すると、良き友人、相手として、自分にあったレベルの相手になってくれて楽しむことできるでしょう。しかし、AIの導入で身近な人の楽しみに対する考え方が変化するかもしれません。AIの将棋が、すべての一流のプロ棋士に勝って、最強になったとしましょう。囲碁や将棋を他の人と対戦して楽しむ人にとっては、ゲームとしての楽しさはそのまま維持できるでしょう。最強が人のプロ棋士からAIに変わっただけですから。
 競争意識と導入すると、すでに最強のAIが存在するという事実を抜きに、その競争を楽しむことができるかという問題です。たとえ人対人の対戦であっても、観戦を楽しむ人がどれくらい残るでしょうか。指した手の良し悪しを解説をするプロの存在は必要でしょうか。AIの答えを見たほうが優劣が明瞭でしょう。AIの将棋が強くなってきたことで、タイトル戦の楽しみ方が、今後の大きな課題になるでしょう。
 予想外の結論が、有用かどうかわからないようなもの、有用かもしれないがその対処が予想外の場合など、実施は慎重にならなければなりません。今まで人しか判断してこなかった政策判断や人物評価などに導入するのは、注意が必要です。因果関係などがはっきりしていないことへの導入も、注意が必要なります。
 もし、その関係にカオスなどの複雑系が存在していると、初期条件の小さな違いによって、結論が大き変わってくることがあります。またフラクタルのような構造があると、一見簡単な規則に思えるのですが、似て非なる類似が発生しているだけで、本当に起こるという保証もありまでん。
 人の行動が絡むと、さらにややこしくなります。AIの判断であるという付帯条件がつくと、ある人は完全に信用するかもれしれません。ある人はひねくれて想定外の行動、思考をすることもあるかもしれません。そんなとき、AIの想定した結論になるとは、限りません。もしかすると、そのような変化する条件をAIに入れてやると、次々と結論が変化することがあるかもしれません。
 AIの予想外の結論は、よく考えて取り入れなければなりません。チェスはIBM社が開発をしていました。囲碁をソフトを開発したGoolgeでした。いずれもその時代のIT化関係の巨人が人と費用をかけて開発してきました。Goolgeは、囲碁で人に勝ったことから目的を達成したとして、今後のその分野での開発を止めました。一方、将棋ソフルは市民が開発を進めてきました。これは、日本の特徴でしょうか。趣味を突きつめていくという方向性は、日本の国民性に合っているのでしょうか。日本の将棋ソフトのように集合知による開発は、今後の技術の世界で重要な考え方かもしれません。ただ、ひたすら目的のために手段だけを進めていくと、群衆心理が働き、過激な方向、行動へとなることもあるので注意が必要です。
 AIの将来を考えると人に危険性があるから、AIの開発を止めるという選択もあるかもしれません。Googleのような目的意識をしっかり定めて、終わりどきを見極めることも必要でしょう。AIは失敗した時の責任をとれないので、採用した人の責任になります。またAIの対処を採用することで、絶対的な信頼感が生じると、人の思考力が鈍っていくこと、思考停止が起こるのではないかという不安もあります。
 AIは有用です。これからもまだまだ進歩していくはずです。人はAIは、どのような付き合いをすればいいかを考えていく必要がでてきました。AIもやはり道具として捉えるべきでしょうか。あまりにも便利すぎる道具とのその付き合い方には、注意が必要です。気をつけないと、AIに使われていることがありそうですね。

・人の知恵・
もうご存しでしょうが、AIは人工知能とも呼ばれ、
「アイ」ではなく「エーアイ」と読みます。
かつては、AIはあまり使いものになりませんでした。
インターネットの発達、IT化、デジタル化により
良質のビックデータを入手することが可能になりました。
コンピュータの処理能力や並列処理などの技術も
格段に進歩してきました。
その結果、ビックデータの大量の処理処理も可能になりました。
それらを背景にして、デープラーニング、
深層学習という手法がでてきました。
AIの進歩は止められないでしょう。
AIとの付き合い方、AIの先のことを考えるという
人の知恵が重要となることでしょう。

・夏休み・
8月は北海道も暑いですが、
ここ数日は天候が悪く、蒸し暑い日が続いています。
大学は、定期試験の真っ最中です。
私が大学生のことは、7月下旬が夏休みで
9月に前期の残りがあり、テストもそのあとにありました。
しかし、最近は、夏休み前にすべて終わらせるために、
一番暑いときに、試験となっています。
教員はその後に採点、評価をします。
夏休みとは、なんのためだったのでしょうかね。