2019年2月1日金曜日

205 視読:子ども時代の教育で

 読書は現代人にとって必要不可欠なスキルとなっています。私が受けた教育では、速読の技術は学びませんでした。しかし現代の若者は、ネットの検索でその技術を身に着けているのかもしれません。

 団塊ジュニアが大学に入りだす年齢に達した1993年の大学・短期大学(以下大学と略します)生数が約240万人になり、2000年には約275万人、大学進学率がはじめて50%を超えた2009年には約285万人となっています。多少の増減はありますが、学生数は横ばいのようです。2018年度の大学生数は291万人、進学者数は58万人となっています。
 一方、大学・短大(以下大学と略します)への進学率は、年々伸びています。2018年度の統計では、57.9%の人が大学に進学しているとのことです。高度経済成長期以前は、大学進学率は10%以下でしたが、年々増えてきて、近年では世代の半数が大学に進学しています。重要なのは、進学者数ではなく、進学率は増えていることです。18歳人口は1990年中ごろから減っているのに、進学率が上昇しているのは、その世代がますます大学へ進学していることになります。
 進学率の伸びは、社会が豊かになってことが一番の原因でしょうが、医療の発達などで平均寿命も伸びているので、社会にでる年齢も遅くてもいいし、現代社会への適応を考えると、長い教育期間も必要になっているなど、さまざまな要因があるのでしょう。
 教育は、若い時期、学びが身につきやすい年齢で、基礎的なスキル、例えば読み書き計算など、また基礎的な知識を身につけることは有効です。これは理にかなったもので、国策として進めていくべきで、日本では9年間が義務教育となっています。現代では、世代人口の半分が大学までの16年間を学ぶことになってきことになりました。
 大学の教育が必ずしも昔と比べてレベルが上がったかいうとそうでもなさそうです。大学進学者の中には、大学以前の学び直し、リメディアル(Remedial)教育も必要な学生も一定数います。もちろん、しっかりと学んできた学生は、それなりのレベルを保っていますが。
 私が教育を受けた時期は、団塊世代やポスト団塊世代よりあとの世代(しらけ世代ともいう)なので、受験戦争の影響は残っているのですが、団塊世代が起こしてきたさまざまな社会問題(例えば学生運動など)の余波がまだ残っている時代に教育を受けていました。良かった点も悪かった点もありました。当時受けた教育を評価することは、何年たっても、なかなか難しいものです。
 しかし、そんな教育の中で今も残念に思えるスキルがあります。これは若い時に身につけるのは簡単ですが、大きくなってからは非常に難しいスキルのようだからです。私は、中年以降になって、何度がチャレンジしたのですが、その度に挫折しています。
 それは読書です。小学校で文字を読み書きを習います。「読み」の中に読書もあります。読書についても、小学校から高校までの教育で指導を受けました。そして、読書感想文なども宿題になったこともあります。読書をした前提で、考えること、書くことなどに終始していてように思えます。読書の方法については、十分な教育がありませんでした。
 読書の方法として、音読(声に出して読む)と黙読(声を出さず頭のなかで音声化して読む)などは、小学校で教育を受け、すべての人はできるようになっています。しかし、読書には、もう一つ目読(もくどく)、あるいは視読(しどく)というものがあります。黙読と目読は同じ意味という解説もありますので、ここでは「視読」をもちいましょう。視読とは、頭の中で声を出さず、音声化しないで読む方法です。この方法は、文字を見て意味を理解しながら文章を読んでいく方法で、非常に速く文章を読めることになります。速読といわれている方法は、この視読のスピードを上げていく訓練をすることなります。私も何度か挑戦したのですが、うまくいきませんでした。
 多分、私は、読書が好きだったので、黙読の習慣が強く身についてしまい、それを変更することができず、手遅れになってしまったのだと思います。ところが、我が家の長男が小学生の時、頭の中で声を出さないで読むといいとアドバイスしたことがあります。しばらく練習したら、そのような読み方ができるようになったようです。読書スピードが一気に上がりました。もちろん書いてある内容がすでに知識としてあり、文字がすべて理解できる内容のものです。児童書などは、非常に速く読めるようになったといいます。次男もそうるようにいうと、簡単にできたようです。ただし、次男は読書があまり好きでないようです。視読の技術が現在も生かされていればいいのですが。
 私も視読できるようになりたいのですが、黙読の習慣が抜けません。頭で声を出してしまうため、どんなに努力してもスピードアップができません。通常技術は熟練すれば上がり、スピードアップも期待できるのですが、読書スピードは、若い頃も今も全く変わりません。声に出すため、一定以上には速度が上がらないためのようです。このスキルは、ちょっとした意識を向けるだけで画期的速度が上がるので、若い人はぜひ身につけるといいです。年齢を経るにつれて、読みたいもの、読まなければならないものが増えるので、速読できれば大きな福音になります。
 ところが、最近の若者たちは、実はもう視読を身につけているのかも知れません。スマホやネットなどの検索し、情報を読み取るスピードは、黙読ではなく視読をしている速度のように見えます。道具が、視読を促しているのかも知れません。教育でする必要もないのでしょかね。

・慌ただしさで・
あっという間に1月も終わりました。
大学は、冬休み、講義、定期試験、卒業研究の発表会など
次々の学事スケジュールが進みます。
そんな慌ただしいに、学内ではセンター試験があり、
次には一般入試が始まります。
そんな慌ただしさで1月は過ぎてしまいます。
2月上旬は成績評価と入試があるので
その慌ただしさは残りますが、
3月まで一番研究に没頭できる時期でもあります。
やりたいことがいろいろ溜まっています。
でも、この時だけに集中しようなどと思っていると
なかなかはかどらないのは経験済みです。
やるべきことを、やるべき時にやり続けることが
一番効率的なのでしょうね。
でも精神的に開放されます。

・研究計画・
2月は大学の競争的研究費の申請の時期になります。
いつもこの時期、来年度の研究計画を考えます。
研究テーマと野外調査がセットなので、
直近の計画として、2月に考えます。
研究テーマは、来年度の執筆予定の論文と直結しています。
いつ、どこに、どの程度の期間、調査に行くかを考えていきます。
今年度は、予定変更で道内の調査を頻繁に行いました。
そしてその重要さと手軽さを味わい、
来年度道内調査を入れることにしました。
本州での長期調査を1度、予算のゆる範囲で、
道内での調査を複数回行うことにしました。
来年の研究計画を考えている時はワクワクしています。